2015年11月22日日曜日

某ニュースサイトで発表予定だったボツ原稿を転載しました


こんにちは/こんばんは。

士林翻訳サービスの林です。

まだ台湾の台北におります。

最近ライター業をやっているんですが、なかなか記事案が通らない。
というわけでこちらに掲載します。

良かったら一読下さい。





「国益」がジャーナリズムを殺すとき
                                      

最近中国政府によるユネスコへの南京大虐殺の世界記憶遺産(Memories of the World)登録が日本国内の主要マスメディアでかなり大きく取り上げられていたことは記憶に新しい。

◆ユネスコと今年の世界記憶遺産

 本稿ライターは一次情報を中心に独自に調査し、ユネスコの公式文書(http://www.unesco.org/new/en/communication-and-information/flagship-project-activities/memory-of-the-world/register/full-list-of-registered-heritage/registered-heritage-page-2/documents-of-nanjing-massacre/)の英文を入手、解析を試みた。nomination formと呼ばれる今回の登録におけるユネスコの公式文書によると南京大虐殺での死者数は”over 200,000"(20万人以上)。中国政府の公称の数字は30万人だが、世界記憶遺産の目的は「忘れないため」の資料の恒久化なので、証拠書類のうち日本敗戦後の極東裁判の公式記録が多くを占めていることから、そこと数字とすりあわせたもののようである。

 しかし、That is not the whole story (話はまだある)。今回の南京大虐殺登録と同じタイミングで、日本政府によってユネスコへ申請された「敗戦後シベリアに抑留された日本人に関する記録」が世界記憶遺産へ登録された。この件に関する記事がライブドアニュースに掲載されていたー


「ロシア シベリア抑留の世界記憶遺産登録をめぐり日本を批判」



アクセスいただければ分かるが、実はこのニュースは記事が削除されているだけでなく、どこの媒体に元記事が掲載されていたかも分からない状態になっている(ただし当方の方で削除があったことを示す魚拓は取得済み)

◆消された批判記事

元記事を掲載した媒体が、何かの理由で、記事を削除し、転載先のライブドアニュースでの記事も削除されたということだ。

日本は中国によるユネスコへの申請とその受理を「政治利用」であると猛反発しているが、日本による同年の申請も、ロシア政府からみたら「政治利用」以外の何物でもないだろう。特に領土問題を抱えている現状において。

◆ジャーナリズムは健在か?

本稿では特定の国批判ではなく、日本で危惧すべき「あること」が起こっていることを懸念している。それは「パブリックに対し事実を明らかにしていく(=ジャーナリズム)」より「国益」を優先せよ、日本社会の空気を読め、という風潮になりつつあるのではという懸念である。

かつて戦前当時の新聞等のメディアは一面に「日本連戦連勝!」のような見出しを踊らせ、「国益」を優先する観点から日本に不利なことを一切報道せず、玉音放送を聞くまで日本がどれだけ追い詰められていたかを情報として知らなかった国民が大勢いた。

本稿ライターが懸念しているのは、某国の総理と某政党の言う「我が国を取り戻す」が、戦前回帰を意味するのではないのだろうかということだ。

いま、日本の国益と立場を守る名目で、NHKにとどまらず、「ジャーナリズム」が徐々に追いつめられつつあるのではないか。今回のライブドアニュースの削除は、戦前の新聞の一部が輪転機の手前で墨を塗られて読むことが出来なくなったのと本質的に同じなのでは。(ちなみにライブドアニュースに掲載された別の南京大虐殺登録に関する記事も削除となっていた:http://news.livedoor.com/article/detail/10718505/

削除の理由となった圧力の源も一切不明で、当事者は何かを恐れて沈黙している模様だ(本稿ライターは経緯を探るために、翻訳業で培った調査力を総動員して調べたが何も見つけることが出来なかった)。

歴史家の山崎 雅弘氏の新著「戦前回帰」まさにそのものの事態が進行中なのだろうか。そうではないことを願いたい。

(林 士斌)

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